心臓病について

増帽弁閉鎖不全症とは

増帽弁閉鎖不全症とは イメージ画像心臓は、収縮を繰り返しながら全身に血液を送るポンプの役割を担っています。心臓の内部は4つの逆止弁で仕切られており、それぞれ血流の流れる順番に三尖弁・肺動脈弁・僧帽弁・大動脈弁という名前が付いています。これら4つの逆止弁が適切に開閉することによって、血液はいつも同じ方向に流れているのが正常です。そのうちの一つ、左心房と左心室を分け隔てる逆止弁が僧帽弁です。

僧帽弁は、大動脈や左心室に発生する高い血圧から肺や肺血管を守るために存在します。僧帽弁がうまく閉じずに、血液が左心室から左心房へと逆流してしまうのが僧帽弁閉鎖不全という病気です。犬は僧帽弁閉鎖不全になりやすい動物で、加齢とともに僧帽弁が変性してしまうことが原因です。

しかし現代医学では、この僧帽弁の変性をストップさせたり、元に戻してくれる特効薬がありません。そのため症状を抑える薬を内服させながら管理しますが、根本的な原因が解決されないため次第に病気は重症化し、いつしか咳や呼吸困難などの症状が抑えられなくなっていきます。症状が出はじめた犬は、健康的な生活を送ることができないばかりか、極めて短命(9か月間で50%の犬が予後不良)に終わることがいろいろなデータで判明しています。

心臓の機能が落ちた時の各器官への影響

脳神経系への影響

脳は常に豊富なエネルギーと酸素が必要な臓器です。心機能が低下すると脳血流が滞り、失神やけいれんなどの症状を起こしやすくなります。

腎臓への影響

腎臓は血液中の老廃物を尿として捨てている臓器で、心臓病の影響を受けやすい臓器の一つです。心機能が低下して腎血流が減少してしまうと、老廃物や水分が体内に蓄積し、全身に様々な悪影響が出てきます。これを尿毒症と言います。尿毒症を生じると活力低下、食欲不振、嘔吐、胃腸障害、下痢、脳症状を生じるようになります。腎血流不足による腎機能障害が進行する一方、腎臓そのものも酸素不足により傷害され、次第に慢性腎不全へと移行します。

肝臓への影響

肝臓はタンパク質の合成やエネルギーの貯蔵・分解・合成、有害物質の解毒、胆汁分泌など、たくさんの大切な働きを行っている臓器です。肝臓は心臓から送り出される血液の1/4もの量が供給されているため、心機能が低下すると容易にダメージを受けます。また肝臓は心臓との位置が近いため、心臓病の影響を受けやすくなっています。

右心不全では血液が心臓に戻りにくくなってしまうため、肝臓に血液がうっ滞して肝腫大がおこります。これをうっ血肝と言います。心臓から十分に血液が送り出せず、肝臓に血液が留まることで肝臓が酸素不足となり、肝細胞は障害を受けます。その結果、血液検査で肝臓の項目に異常値が出る場合があります

うっ血肝によって肝臓に酸素や栄養が供給されずに破壊されることにより、肝機能が正常に働かなくなり、重篤な肝不全や肝硬変へと移行すると黄疸・肝性脳症や腹水などといった症状まで出現します。

皮膚・体毛・筋肉

心臓が正常な場合には、心臓が送り出す血流は体全身にくまなく行き渡っています。しかし、心臓病が進行して心機能が低下してくると、心臓が送り出す血流はなるべく脳・腎臓・肝臓などの生命維持に必須の臓器に分配されるようになり、皮膚・体毛・筋肉などの血流が犠牲になります。

そのため、慢性心不全の動物は皮膚のハリやみずみずしさがなくなり、カサカサと乾燥し、体毛は薄く、毛ヅヤが悪く、筋肉はやせ衰え不健康な見た目になり、たいていは年齢の割に老けて見えます。皮膚病にもかかりやすくなります。

胃や腸などの消化管

胃や腸などの消化管にも血流は必要です。心機能が低下して血流が滞ると消化吸収が悪くなり、下痢や嘔吐症状が見られる場合があります。便の中の細菌バランスの乱れが生じ、感染性の下痢なども多く認められるようになります。

歯や口腔

心臓が悪い動物は歯石がたくさん付着しており、よだれの汚れやニオイがひどい場合がかなり多いです。心臓が悪いと歯石が付きやすくなってしまうのではありません。心臓が悪いために歯科処置が危険と判断され、敬遠されてしまうためです。心臓が悪いと、歯磨き中や歯石除去の処置中にも症状が急変しかねません。それだったら止めておこうと歯科処置をあきらめてしまう、というカラクリです。

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