腫瘍科

よくある癌の症状

癌に気付く
大事なポイント

01

日常生活での気になる慢性症状はあるか

癌は体中すべての内臓や組織に発生する可能性があるためさまざまな症状を引き起こします。一般的に、体調不良の原因の多くは軽症の問題です。しかし、どんな体調不良であっても1〜2週間以上続くときや治療しても良くならないとき、良くなってもまたすぐに症状が再発してしまうときは、しっかりと精密検査を受けましょう。体調不良の原因には癌や心臓病など重大な疾患が隠れていることがあり、長引く体調不良を見逃したり放っておくと、取り返しがつかない状態になる場合があります。

02

定期的な健康診断で早期発見・早期治療

犬や猫は体調不良を隠してしまうことも多く、水面下で進行していく癌も多いため、気付いたときにはもう手の施しようがないということも少なくありません。さらに肝臓癌や脾臓の悪性腫瘍、肺癌など初期には症状を出しにくく、超音波やレントゲン検査などの積極的な検査を行わないと発見しにくい悪性腫瘍も存在しています。癌は体中のさまざまな場所に発生・転移する病気のため、早期での治療を開始できるよう定期的な健康診断を受けることをお勧めします。

癌で考えられる
症状

このような症状があれば、早めにご相談ください。

しこり・イボ

体を触って、今までになかったしこりやイボができている場合、腫瘍の可能性があります。腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、見つかったしこりが良性であることも多いのですが、中には癌や肉腫、肥満細胞腫、リンパ腫など悪性腫瘍の可能性もありますので注意が必要です。

また、しこりは皮膚表面だけでなく、お口や耳の中や、足先、精巣、肛門の周りなどいたる所に発生しますので、スキンシップの中で気を付けてあげるといいでしょう。特に急に大きくなったり、表面が割れて出血したり、本人達が気にしている場合は早期の来院をお勧めします。

考えられる疾患

癌/肉腫/肥満細胞腫/リンパ腫 など

元気・食欲・体重の低下

最近、元気や食欲がなく体重も減ってしまった。一概にこのような症状のすべてが悪性腫瘍ではありませんが、急激で強いこれらのサインは重大な病気が隠れている可能性がありますので早期の来院が必要です。特にイヌやネコの体格は人と比べ小さいため、少しの体重減少と油断しがちです。日頃からベスト体重を把握しておき、減少の割合で判断しましょう。

考えられる疾患

重大な病気が隠れている可能性あり

咳・呼吸困難

犬や猫が咳をしている場合、心臓病や気管・気管支の病気、肺炎などさまざまな病気が考えられますが、中にはこれら臓器に腫瘍が発生していることがあります。呼吸が苦しいときも同様で、胸水が溜まってしまう他に、心臓に腫瘍が発生していることもあります。これらは強い症状であり緊急対応が必要な病気も含まれるため、早い来院を推奨します。

考えられる疾患

心臓病/気管・気管支の病気/肺炎/臓器に腫瘍

鼻血・鼻詰まり・くしゃみ・いびき・鳴き声が変わった

犬や猫が鼻血を出すことはまれで、鼻の中に重大な病気が発生している可能性があります。鼻の中にガンが発生することもあり、鼻血や顔が最近変わってきた・腫れてきたと感じるようなことがあればレントゲン検査などで早期に確認しましょう。

また、いびきやくしゃみがひどい場合や、鳴き声の変化や声がかすれるときなどは咽頭やのど頭などノドの奥に問題が発生している可能性があるため、こちらも検査が推奨されます。

考えられる疾患

鼻の中に重大な病気が発生している可能性/ガン/咽頭やのど頭などノドの奥に問題が発生している可能性

嘔吐・下痢・便秘

胃腸の悪性腫瘍の場合、ひどい吐き気や下痢、便秘などの消化器症状が発生します。また、肝臓や脾臓、腎臓などに大きい塊を作る腫瘍の場合も胃腸が圧迫され同様の症状を示します。このような症状が見られた場合すぐに改善する胃腸炎が大半を占めている一方で、病院で治療しているのに治らないしつこい下痢や嘔吐、食欲や体重の減少を伴う場合は、一度検査をしましょう。

考えられる疾患

胃腸の悪性腫瘍/肝臓・脾臓・腎臓などに大きい塊を作る腫瘍 など

血尿・頻尿

腎臓や膀胱、尿管、尿道などの泌尿器系に腫瘍ができた場合、排尿に関連する血尿や頻尿などの症状が認められます。これらの症状が見られた場合、膀胱炎や尿石症など治療できる病気であることがほとんどですが、近年、膀胱ガンなど泌尿器の腫瘍も増加しているため注意が必要です。ひどい血尿が続くとき、膀胱炎の治療をしてもなかなか治らない、膀胱炎を何度も繰り返すときは、超音波検査や尿検査などで腎臓や膀胱のチェックをしましょう。

考えられる疾患

膀胱癌など泌尿器の腫瘍 など

体や足の痛み・ふらつき・麻痺

骨の腫瘍や骨に浸潤する筋肉の腫瘍、神経の腫瘍は体や足の痛み、ときに麻痺を引き起こします。もちろん一過性の痛みやふらつきは整形外科的な問題(関節炎や靭帯損傷など)であることが一番多いです。

特に関節や骨の病気が多い大型犬は、関節や骨に腫瘍が発生しやすいため、関節炎だろうと様子を見ている間に腫瘍の発見が遅くなってしまう可能性があり注意が必要です。治療に反応しない激しい痛みやふらつきが続くときはレントゲン検査が勧められます。

考えられる疾患

骨の腫瘍や骨に浸潤する筋肉の腫瘍/神経の腫瘍 など

けいれん発作

脳に腫瘍ができた場合、意識をなくし、足をバタつかせけいれんする発作が発生することがあります。発作は、脳腫瘍や脳炎などの神経疾患以外にも、低血糖やホルモン異常などの血液異常や、心臓病由来のものなどさまざまな原因で起こり得るため、一度でも認められた場合、早い検査が必要です。高齢になって初めて発作が起きたときや発作に加えて麻痺や性格の変化、眼が見えないなどの症状が重なっているときはより慎重な対応が推奨されます。

考えられる疾患

脳腫瘍や脳炎などの神経疾患/低血糖やホルモン異常などの血液異常/心臓病由来のものなど

腹囲膨満

食べている量が同じなのにお腹が張っている、体は骨ばっているのにお腹だけ出ているときは、お腹の中に大きい塊ができていることや、腹水が溜まっている可能性があります。肝臓や脾臓、腎臓などの腫瘍は症状を出すことなく進行し、大きくなるまで気付かれないこともあります。また後述する多飲多尿という症状を併発しているときはクッシング症候群という脳の下垂体もしくは副腎という臓器が腫瘍化することによっておこる病気の可能性があります。

考えられる疾患

お腹の中に大きい塊ができている/腹水が溜まっている など

多飲多尿

たくさんお水を飲んで、たくさんおしっこをすることです。代表的な病気にクッシング症候群という病気があります。ホルモン異常から多飲多尿症状を引き起こしますが、元は脳の下垂体という所の腫瘍か、お腹の副腎という臓器が腫瘍化している可能性があります。

また飲水量や尿量が増える病気は腎臓病(腎不全)や糖尿病、子宮蓄膿症などたくさんあり、多飲多尿症状のすべてが腫瘍ではないですが、飲水量が急に増えたとき(体重1kgあたり約100ml以上:5kgの子なら約500ml以上/1日)、トイレを失敗するくらい尿量が増えているときなどは一度血液検査などの検診を受けましょう。

考えられる疾患

クッシング症候群/脳下垂体腫瘍/副腎腫瘍 など

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